削り方
鉛筆は使用に伴って芯が摩耗することで、芯の木材から出ている部分が小さくなり、あるいは芯の鋭さが失われる。この結果筆記し難くなるため、木材と芯を削ることで芯の露出を増やし、その先端を鋭くする作業が必要になる。鉛筆を削ることを繰り返すと、最後には鉛筆が短くなり過ぎて指で支持しにくくなり、筆記が困難となる。この状態が実用上の寿命であり、「鉛筆がちびる」などと表現される。ただし、測量などの激しい移動を伴う作業では、折れてしまう事故を避けるためにわざと「ちびた」鉛筆を用いることがある。「ちびた」鉛筆を使えるようにするために、長さを延長するための金属やプラスチックの器具がある。短くなった鉛筆の削っていない側を差し入れて、筆記しやすくするのである。保存用のキャップを兼ねた短い物と、延長専用の長い物がある。長い物は補助軸とも呼ばれる。これらにも、消しゴム付きの物がある。日本及びアメリカの市販鉛筆は通常削られておらず、使用する前に削る必要がある。これに対し、削られている状態で市販されている鉛筆を、「先付鉛筆」(さきづけえんぴつ)と呼ぶ。ヨーロッパの市販鉛筆は基本的に先付鉛筆である。削る作業は、一般的に鉛筆削りと呼ばれる専用の器具、または肥後守やボンナイフなどの小型のナイフ、ないしカッターナイフが用いられる。通常、HBなどの硬さの表示のある方は削らない。こちらを削ると、使用時に硬さがわからなくなってしまう。鉛筆を削る作業は時間がかかり、また専用の器具を使ったり削りくずが出たりするので、板書筆写中、試験中などに随時行うというわけにはいかない。そのため、削った鉛筆を複数本用意し、使用中に摩滅・芯折れすれば順次持ち換え、時間や手間に余裕のできたときにまとめて削るのが普通である。
ナイフでの削り方
鉛筆削りが普及する前には、鉛筆はナイフで削るのが一般的であった。その場合、鉛筆の先端2cm程度を先が細くなるように削る。芯の先も削り、尖らせる。製図用として、通常の円錐形ではなくマイナスドライバー型に先端を削りだす方法もある。こうすると接地面が増えるため、使用中に先が丸くなりにくく線幅が安定する。また、一本の鉛筆で線の太さを描き分けることができる利点もある。
鉛筆削り(器具)
鉛筆専用の鉛筆削りは、携帯用のものと卓上型のものがある。携帯用鉛筆削り器の多くは、金属かプラスチックの小片に平らな刃を斜めに固定した簡易なものである。鉛筆を円錐形の削り穴に押しこみながら回すことにより、鉛筆の軸と芯が刃に沿って扇状に薄く削り取られる。右利きの人が使いやすいように鉛筆を時計回りに回転させるものが多いが、反時計回りに回転させる左利き用もある。卓上型鉛筆削り機は現在は電動式が多い。削り器の穴に鉛筆先端を押し込むだけで自動的に削られ、かつ、芯が尖ると自動的に動作を停止する。手動式は鉛筆をつかむクリップ部を一杯に引き出してストッパーで固定された状態から、クリップを開いて削り穴に鉛筆を挿入し、反対側のハンドルを回すものである。ばねの力で鉛筆が押し込まれており、芯が尖ると回転が軽くなり自動的に空回りするので、クリップを開いて鉛筆を引き出す。クリップ部はばねで元の状態に収納される。手動式は、軸にクリップによる傷が付くことがある。卓上型鉛筆削り機の機構は、鉛筆の軸を固定しその周囲を芝刈り機のそれを小型にしたような円筒状の螺旋回転刃を旋回させるものが手動・電動問わず大多数を占め、先の説明もその機構の機器を想定している。そのほか、複数の平面刃を配した手裏剣の如き回転刃を用い、刃体の他に鉛筆を軸方向に回転させながら削るもの(ナイフによる鉛筆削りの動作を模している)や、鉛筆を固定し上記携帯式鉛筆削り器と同じ構造の機構部を動力回転させるものなどがある。電動式・手動式いずれも下部の削りかす収納部に削りかすがたまるため、収納部が満杯になる前に削りかすを捨てないと故障の原因になる。また、螺旋回転刃式鉛筆削り機では6cm以下程度に「ちびた」鉛筆は削れず、携帯用鉛筆削り器やナイフで削るか廃棄することになる。それゆえに、補助軸を好んで用いる者は卓上鉛筆削り機を忌避し、ナイフを愛用する傾向がある。
貧乏削り・泥棒削り
両端を削ることを地方によっては貧乏削り・泥棒削りと呼ぶ。前述したように、鉛筆は複数本用意するのが基本だが、貧困により2本目の鉛筆が確保できない場合、鉛筆の両端を削れば、2本分として使える。これを貧乏削りと揶揄する。貧乏削りは有効利用できる長さが短くなり、不経済な使用法でもある。学用品としての鉛筆は、削らない側の端部の一面の塗装を薄く削ぎ、露出させた木地面に氏名等を書くことがよく行われた。この記名は、盗んだ鉛筆を「貧乏削り」すれば違和感なく削り落とすことができる。そこで、そのような窃盗の証拠隠滅が疑われる使い方を、「泥棒削り」と揶揄した。
削らないで使えるもの
削らなくても芯出しをできる鉛筆もある。それは、芯に木ではなく紙を巻き付けて作られたもので、一端に糸が仕込まれたものである。この糸を引くと外面に切れ目が入るようになっていて、決まった切り目から剥がしていくと、円錐形の先端に新しい芯がでるようになっている
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