絵本と歴史的経緯
絵本は、その初期において識字率の低い大衆に内容を理解させるという性質も強かったと考えられる。こと宗教の布教において説話や抽象的概念を絵図で示すことは世界各地にその類型がみられ、神話や伝説なども絵図入りの書物の形で示されたものも数多い。日本における絵本は、平安時代の絵巻物を起源とし、室町時代の奈良絵本、江戸時代の草双紙と歴史をたどることができる。特に江戸時代の赤本が、子供向けに作られた絵本といえる。明治時代になって欧米の印刷技術や絵本が入り、現在のような絵本の形態になってきた。絵本は、絵だけのものもあるが、基本的には絵と言葉によるコラボレーションであり、ページをめくるという行為が重視される。日本では、一般に幼児向けの教育的なものを意図して製作されたものと捉えられているが、戦前からの絵雑誌である「コドモノクニ」「キンダーブック」の幼稚園での普及による影響があるためであり、戦前でも「講談社の絵本」など児童以上向けの絵本は存在していた。ヨーロッパにおいては、18世紀にイギリスで最初の児童書出版者ジョン・ニューベリー|ニューベリーによる出版物を経て、19世紀半ばに絵と言葉を融合した現代絵本の形態が完成した。ヨーロッパでは、幼児以上の年齢層をも対象とし、純粋な娯楽を目的としたものもあるが、場合によっては多少エロティックな内容を含んだ「俗悪な」ものも存在する。ヨーロッパでは日本ほど漫画が普及しておらず、いわば、日本の江戸時代における春画的なポジションも絵本が担っている。最古の教育絵本は、宗教改革の時代にモラビアのボヘミア|ボヘミア地方出身の教育者コメニウス|ヨハン・アモス・コメニウスが作ったとされる『世界図絵』で、今日の学習絵本の元祖といわれている。
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絵本は、それ自体は絵画を主体とした書籍のうち、物語などテーマを設けて文章を付与し、これを読ませるものである。しかし幼児向けのものでは、幼児自身はまだ十分に文字が読めないため、大人や年長者が物語を読み聞かせつつ、絵を眺めさせるという形態が一般的である。これによって言葉とイメージ(視覚から得た情景)を関連付けさせ、言葉の意味を学習する一種の家庭教育的な効果も期待...