紙の原料
紙の原料は、現在の洋紙では、木材と古紙がほとんどである。木材が紙の原料となったのは、19世紀後半からで、それより前は非木材植物が原料となっていた。また、近年では製紙による森林伐採を抑制する観点から、ケナフなどの非木材植物が注目される場合もある。
非木材植物
紙の原料として使われた非木材植物には、次のものがある。いずれも、安定供給や品質の面から木材の代替にはならないとされており、現在では特別な用途で使われている。
アサ
: アサやそのぼろは、中国で紙が発明されたときの主原料だった。
カジノキ・ガンピ・コウゾ・マユミ・ミツマタ
: カジノキ・ガンピ・コウゾ・マユミ・ミツマタはいずれもその樹皮が紙の原料として、中国・朝鮮半島・日本などで使われた。このうち栽培が比較的容易なコウゾは、現在和紙の主原料となっている。また、ミツマタは日本紙幣の原料として混ぜられている。
竹
: 竹紙は、中国で唐時代(7世紀)から作られ、宋 (王朝)|宋時代(10世紀以降)には竹が紙の主原料となった。
藁
: 藁(稲わらや麦わら)は、中国では唐時代から紙の原料として使われた。また、日本では1890年代頃は洋紙の主原料だった。藁には、繊維が細くて短すぎるため弱い紙しかできない、年に1回しか収穫できず腐りやすいため保管が難しい、などの問題点があった。
亜麻
: 亜麻やそのぼろは、イスラム世界で紙の主原料となった。ヨーロッパでも木材以前はよく使われた。
木綿
: 木綿のぼろは、欧米で木材以前は紙の主原料であった。しかし、15世紀に印刷技術が確立して紙への需要が大きくなると供給不足になり、木材からの製紙方法が開発される契機となった。日本でも、製造開始直後の1880年代頃は洋紙の主原料だった。なお、通常の木綿は、繊維が長過ぎるため、製紙には使いにくい。
サトウキビ
: インド・中国や南アメリカ|南米諸国では、製糖時に発生したサトウキビの絞りかす(バガス)からパルプを製造している。バガスパルプは多くの場合、製糖工場に隣接したパルプ工場で生産される(三島製紙 - 砂糖キビの絞りかすから生まれたバカス紙について参考)。
マニラアサ
: マニラアサは、フィリピンなどで栽培されているバショウ科の植物。繊維が細長いため、しなやかで強い紙を作ることができる。現在、日本紙幣の主原料となっているほか、ティー・バッグ、掃除機の紙パックの原料となっている。
ケナフ
: ケナフは木に近い性質を持ち、成長が非常に早いため、木材の代替候補として注目された。 木材
木材は、1840年代に木材パルプの製造方法が確立して以来、紙の原料として使われるようになった。日本では、1889年に最初の木材パルプ工場が建設された。 針葉樹と広葉樹
木材パルプの原料にはもともと針葉樹が使われており、日本では1960年代から広葉樹も使われるようになった。針葉樹の繊維は、広葉樹の繊維より太く長いため、一般的に針葉樹から製造した紙の方が強い。新聞巻取紙や印刷用紙・情報用紙では針葉樹が使われることが多い。一方、現在の印刷・情報用紙の多くは、広葉樹が主原料になっている。 輸入木材チップ
日本では1965年から、大型専用船でアメリカ合衆国|アメリカ・オーストラリア・ニュージーランド・チリ・中国などから輸入した木材チップを紙の原料として使うようになった。輸入木材チップは、1980年代以降の円高などの影響もあって割安なことから、現在では国内の木材より多く使われている。木材チップは、製材の背板などの残りや間伐材、廃材などから製造される物もあるが、製紙原料用に植林されたユーカリやアカシアなどの木材から生産されたものが多くなっている。 古紙
古紙を元に紙を作ることは、紙の発明直後から行われていたと考えられる。現在、古紙の利用率は、世界で約50%と推定されている。日本では、約60%である。
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かつて、コンピュータが普及すると情報の記録や伝達はコンピュータに置き換えられるため、紙の消費は減るであろうとする予想があった。こうした紙の消費量を減らすことをペーパーレス化といい、情報伝達の効率が高くなることや、文書を保存・管理するコストが小さくなることが期待されていた。しかし、コンピュータが高度に普及した現代においても、紙の使用量は減少することはなく、むし...