書の筆
仕組み
毛はウロコ状の表皮に包まれた物体である。ウロコ状の部分をcuticle(キューティクル:表皮構成物質)と呼ぶ。
人毛の場合、このキューティクルの隙間は0.1ミクロンであり、水などがこの隙間から進入すると毛全体が膨らみ反る。
そのため、作られてすぐの筆は膨らんだり毛が反るので、毛や筆の性能を活かしきることができない。
筆のキューティクルの隙間に墨のスス成分が沈着し、水分が入れない状態を作ると、膨らんだり反ったりしなくなる。
このスス成分が沈着すると、筆のコシが出て、墨の含みも良くなり、毛の乱れもなくなって、最も良い状態で筆の性能を活かすことができる。
毛とニカワの関係について
そのため、筆は使うほどに本来筆の持つ能力が出てくるが、それには墨の選び方や洗い方も大事になってくる。墨の成分は、主にススと膠(ニカワ:コラーゲン・ゼラチン成分)から作られている。
品質の劣悪なものは、ニカワの成分が毛に対してストレスを与え、キューティクルを傷める。
人によってはリンスやコンディショナーなどを塗布してキューティクルを守ろうとすることがあるが、前述の通り筆の毛はキューティクルの隙間にススを入れることが大事であって、リンスやコンディショナーなどは隙間に入り込んでススを入れなくしてしまうので、筆の毛にコシを与えず逆に寿命を縮めることになる。
洗うことについて
穂先に墨が残らないようによく水洗いする。
筆の根元については、よくすすぎ、根元にニカワ分が残らないようにする。ニカワ分が溜まると、筆管が割れる。
ニカワは、ぬるめの湯に一番溶けやすいので、湯で洗うのが毛に最も良い。毛の根元の墨を口で吸ったりして吸い出すことがよく行われているが、品質の良い墨ではよいが、墨汁など品質の悪い墨を口に入れるのは体に悪いこともある。
但しスス成分が溜まると筆は逆に長持ちするのでニカワの成分だけをよく落とすのが大事である。作られてすぐの筆を水に長時間浸しておくと、毛に水が入り込み膨らんでキューティクルの隙間が大きく開き、毛が切れやすくなる。
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